2015年10月28日

アウフスト・ドゥ・ブック(August de Boeck)(2)ベルギーの作曲家

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11455645453.html
2013年1月25日

《転載開始》

August de Boeck.JPG


昨年、ずっと以前に紹介したブックについて久々に検索をかけてみたところ、
アウフスト・ドゥ・ブック(August de Boeck, 1865-1937)
の新たな管弦楽作品集が出ているのを発見!!
早速購入しました。

昨年末から今年初頭にかけて多忙を極めていましたが、
やっと落ち着いたので、レビューといきましょう。



フランドルの世界(in Flanders' Fields)第71弾
ファードラ(Phaedra)
http://www.phaedracd.com/product_info.php?products_id=147

収録曲は、全て世界初録音だそうです!!
最近流行りの(?)紙製ジャケットで、全体で75分弱もあります。

全体的な印象ですけど、フワッとした感じというか、地味な旋律の曲が多く、
明解な曲が好みの私にとってはちょっと期待外れの感が否めませんが、
逆に言えば、瞑想的な曲がお好みの方には大変お薦めしたいと思います。
中々深みのある曲揃いではないかと思います。
作業用BGMには持って来いかも。

私がブックのファンになった切っ掛けというのは、
ブックが一番最初に書いた管弦楽作品
『ダホメー狂詩曲』(Rapsodie dahoméenne)
が、コミカル且つ極めて明快で、お祭騒ぎの様な曲だったから↓
https://www.youtube.com/watch?v=6axkflWR3jo

この後、これほど明解な曲を書いていない(私の知る限り)ところが、
残念に思いました。

マイナーな作曲家なだけあって、名前の日本語表記は人によりまちまちで、
原音に完全に忠実というわけではない「アウグスト・デ・ブック」が
主に使用されています。
よって、検索用に「アウグスト・デ・ブック」「ブーク」とも打ち込んでおきます。

1:歌劇『テロワーニュ・ドゥ・メリクール』第1幕への前奏曲
Voorspel tot de opera “Théroigne de Méricourt” 1900

全体的に落ち着いた感じの、物思いに耽っている様な、
夜想曲を思わせる5分程の曲。

テロワーニュ・ドゥ・メリクールとは何なのか?について調べてみたところ、
かなりぶっ飛んだ人物だというのが分かりました。
Wikipediaを参考にさせていただきました。
Wikipediaを鵜呑みにするのは危険だとはよく言われているので、
取り敢えずそういう事を念頭に入れてご覧ください。
テロワーニュ・ド・メリクール(Wikipedia)
フランス革命期に活躍した女性革命家だそうで、男装もしていたそうです。
男装の麗人と言えば、ジョルジュ・サンド(Jeorge Sand)が有名ですが、
彼女よりも先ですね。
継母との関係が上手く行かず11歳で家出をするが、20歳で社交界に入り、
高級娼婦として名を馳せた、計算高い女だったとか。
上流階級出身の客との関わりの中で知識や教養を身につけたらしく、
フランス革命期には革命の思想に共感し、
娼婦家業で得た資産で革命家達を援助したとか。
しかし、ジャコバン派支持の女性達から暴行を受けた事が切っ掛けとなり、
表舞台から消え、最後はサルペトリエール療養所(Hôpital de la Salpêtrière)
で寂しく世を去ったという。

波乱に富んだ彼女の生き様は、
まさにオペラや映画の題材に相応しいかも知れません。

まず、このオペラ全体を聴いていないので勝手な事は言えないと思うのですが、
彼女の生き様を一通り知ってから第1幕への前奏曲を聴いてみると、
革命前夜の、まさに夜明け前の雰囲気を描いているのだろうか?
という印象を受けました。

台本は、レオンス・デュ・カティヨン(Léonce du Catillon)。
ネット上には「カスティヨン」(Castillon)表記も見られるのですが、
どちらが正しいのでしょうか?

また、ネット上では「1901年」表記も見られます。
初演が1901年という事か?

2-4:ピアノ協奏曲ハ長調(3楽章)
Concerto voor piano en orkest in C majeur 1926-1929, 1982
ピアノソロパート:Pierre Hans(ピエール・ハンス?),
ヨゼフ・ドゥ・ベーンハウヴェル(Jozef de Beenhouwer)
2008年8月28日に書いたCD化を希望するマイナークラシック曲(2)
という記事で、ピアノ協奏曲を聴きたい!!と書きましたが、
やっとその願いが叶いました。
どうして知っていたのかと言うと、Wikipediaに出ていたからです。

全体的な印象ですが、基本的に後期ロマン派ではあるのですけど、
時代が時代なのか?やや印象派的な崩れた和音も垣間見れます。
それ程印象的な旋律が無く、ちょっと地味な印象を受けたので、
明解さを好む私にとっては、余り期待通りでは無かったのですけど、
第2楽章の幻想的な妖精の踊りを彷彿とさせるワルツ風旋律は中々良く、
第3楽章の主旋律は保守的で堅固な旋律です。

5-8:管弦楽組曲『歌劇“フランチェスカ”より』(4楽章)
Orkestsuite uit de opera Francesca 1913-1920, 2009
編曲:フリッツ・セリス(Frits Celis)
1:召命(Roeping)第1幕より
2:激情(Hartstocht)第2幕より
3:絶望(Wanhoop)第3幕より
4:浄化(Loutering)第4幕より
ブックの最後のオペラ『フランチェスカ』より一部を選曲し、
4曲からなる交響組曲として、フリッツ・セリス(Frits Celis)が編曲したもの。

ベルギーの作家、ウジェーヌ・デモルデル(Eugène Demolder)の
小説『エメラルドの道』(La route d'émeraude)を題材にしたオペラです。

心象風景を描いた様な、映画音楽といった感じの曲です。
表題からして恐らくそうかも知れません。
フワッとした感じではありますが、バランスの悪さは感じないので、
曲としての完成度は高いと思いますし、『召命』は瞑想曲風ですが、
それ以外は1曲1曲がかなり濃く、それぞれ立派な“交響詩”という印象です。
作業用BGMとか、ソファーにでもゆったり落ち着いて目を閉じて聴く感じの
曲でしょうか。

同曲の収録風景↓
http://www.youtube.com/watch?v=epHuF7Jo-4g

瞑想的で牧歌的な魅力ある旋律。

August de Boeck PH 92071.jpg

イン・フランダース・フィールズ第71弾
In Flanders' Fields vol.71
ピアノ:ヨゼフ・ドゥ・ベーンハウヴェル
Jozef de Beenhouwer
演奏:ヤナーチェクフィルハーモニー管弦楽団
Janáčkova filharmonie Ostrava
指揮:イヴォ・ヴェンコフ
Ivo Venkov
Phaedra【PH92071】2012年

《転載終了》
タグ:ベルギー
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2015年10月25日

アンドレス・ガオス・ベレア(Andrés Gaos Berea)ガリシアの作曲家

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11296706502.html
2013年2月9日

《転載開始》

Andrés Gaos Berera.jpg


画像はココから拝借↓
http://filarmonicacoruna.net/index.php?id=21

1874年、ア・コルーニャ(A Coruña)生まれの、作曲家、ヴァイオリニスト。
1885-1888年、マドリード音楽院
(Real Conservatorio Superior de Música de Madrid)で、
ヘスス・デ・モナステリオ(Jesús de Monasterio)にヴァイオリンを学ぶ。
その後、パリ音楽院(Conservatoire de Paris)で、ヴァイオリニストの
ジャン・バティスト・シャルル・ダンクラ(Jean Baptiste Charles Dancla)に学び、
王立ブリュッセル音楽院(Koninklijk Conservatorium Brussel)で、
ヴァイオリンをウジェーヌ・イザイ(Eugène Ysaÿe)に、
作曲をフランソワ=オーギュスト=ヘファールト(François-Auguste Gevaert)
に学ぶ。
1891年、フランス、ベルギー、ポルトガル、スペインで、演奏旅行を行う。
1894年、メキシコへ赴く。
1895年、ブエノス・アイレス音楽院(Conservatorio de Música de Buenos Aires)
で教鞭を執る。
教え子の一人に、セレスティノ・ピアジオ(Celestino Piaggio)がいる。
1896年、モンテビデオで、ヴァイオリニストで歌手の
アメリカ・モンテネグロ(América Montenegro)と結婚。
同地のリラ音楽院(Conservatorio La Lira)で教鞭を執る。
1959年、アルゼンチンのマル・デル・プラタ(Mar del Plata)で死去。

※Wikipediaドイツ語版、フランス語版、CD解説書などを参照
Andrés Gaos - Wikipedia Deutsch

CDのレビューがまた続きます。
今回は、スペインはガリシア地方出身の作曲家、
アンドレス・ガオスの管弦楽作品集を取り上げます。

この作曲家の存在を知ったのは
『辺境・周縁のクラシック音楽T イベリア・ベネルクス編』(青弓社)
なのですが、今回紹介する曲の幾つかも同書取り上げられています。
しかし、今回紹介するCDは取り上げられていません。

というのも、同書の出版が2010年であるのに対し、
同CDも2010年発売らしいのです。
その上、このCDに限った事ではありませんが、
海外のCDは、日本では遅れて発売されるのです。
Tower RecordsとAmazonによると、日本での発売は2011年らしいです。

同書で取り上げられた管弦楽作品集は、
『ARTE NOVA CLASSICS』
というレーベルの入手困難と思われるアルバムですが、
今回紹介するCDとは、取り上げている曲や指揮者、演奏する管弦楽団が
ほぼ同一ですけど、内容が完全に同じというわけではありません。
今回紹介するCDに収録されている曲の内、
交響曲第1番と交響詩『グラナダ、アルハンブラの黄昏』が収録されておらず、
CDは1枚です。
コメント欄より、同書の著者、もにりくちなしさんから教えていただきました。
有難うございます。

とにかく、ガオスという、
魅力溢れる作品を書きながらもマイナーである作曲家のCDが、
日本の大手の販売サイトで手に入ると偶々の検索で知った時は、
とても驚きました。

因みに、『Amazon』と『TOWER RECORDS』で手に入ります。
Amazonでは「Andres Gaos」ではヒットせず、
「Berera」か「Integral obra sinfonica」でないと出てきません。

Andrés Gaos Berera 1CM0264.JPG


アンドレス・ガオス管弦楽作品全集
INTEGRAL OBRA SINFÓNICA
指揮:ビクトル・パブロ・ペレス(Víctor Pablo Pérez)
ヴァイオリン:マッスィモ(マッシモ)・スパダーノ(Massimo Spadano)
演奏:ガリシア交響楽団(Orquestra Sinfónica de Galicia)
Columna Música【1CM0264】2010年
CDタイトルに「Integral」と出ているという事は、
ガオスの管弦楽作品は、恐らくこれで全てという事なのでしょう。
紙ジャケットにCD二枚組です。



交響曲第1番(1896-1903)全3楽章
Sinfonía no 1
全3楽章ながら、全体で約40分なので、一つ一つが濃い。
ドイツ・ロマン派の影響が強く、国民楽派的要素は殆ど感じませんが、
叙情性に富んだ旋律が中々魅力的に思いました。
第1楽章(Allegro moderato e ritmico)
は、シューマンやブラームスを彷彿とさせる保守的な旋律と、
チャイコフスキーやドヴォジャーク(ドヴォルザーク)を彷彿とさせる
叙情性に溢れた旋律が交互に現われます。
悲愴感漂う旋律や牧歌的なほのぼのした旋律が出てくる等、情感豊かな上、
旋律そのものが大変魅力的で、メロディメーカーだなあと思いました。
ノルウェーの作曲家、アイヴィン・アルネスの交響曲第1番を思い出しました。
第2楽章(Andante)
は緩徐楽章です。
牧歌的で瞑想的ですが、感情の高まる感傷的旋律も現われます。
第3楽章(Allegro moderato)
ドイツ・ロマン派風の保守的な作風です。
しかし、只の亜流には留まらず、叙情性に溢れた旋律も出てきます。
第1楽章に似ているかも知れませんが、第1楽章の旋律が再び現われます。



交響曲第2番『ガリシアの山々より』(1917-1919)全3楽章
Sinfonía no 2 “Nas Montañas de Galicia”
ガオスの故郷であるガリシアの旋律の旋律に溢れた、
ガオスの代表作の一つに数えてしかるべき作品ではないかと思います。
『辺境・周縁・・・』によれば、3楽章それぞれに表題が付いているそうですが、
見落としているのかも知れませんけど、ライナーノートには見当たりません。>
第1楽章(Andante mosso)
には『村祭り』の表題が添えられているそうです(参照:辺境・周縁・・・)。
ゆったりほのぼのした素朴感漂う舞曲風というか行進曲風旋律が、
様々に形を変えて行きます。
2012年7月28日の
スペイン各地域の狂詩曲(ガリシア狂詩曲・バレンシア狂詩曲・バスク狂詩曲)
という記事で紹介した、ショアン・モンテス・カポン(Xoán Montes Capón)
の『ガリシア狂詩曲』(Rapsodia galega para orquesta)にも似ています。
それを、大幅にパワーアップさせた様な感じでしょうか。
有名な曲で言えば、チャイコフスキーの『中国の踊り』(くるみ割り人形)とか、
イッポリトフ=イヴァーノフの『酋長の行進』(コーカサスの風景第1番)
等に雰囲気が少し似ているでしょうか。
第2楽章(Andante)
瞑想的旋律が最初に出てきますが、この透き通る様な美しさは格別!!
暫くすると躍動感溢れる舞曲風旋律が出てきて、徐々に盛り上がって行き、
頂点に到達した後、再び最初の旋律が戻ってきます。
『辺境・周縁・・・』によると、『ケルトの歌』の表題が付いているそうです。
第3楽章(Allegro moderato)
最終楽章に相応しく、堂々として、表情が生き生きと大胆さに溢れています。
『田舎の踊り』の表題が付き、ガリシアの民俗舞曲『ムイネイラ』(Muiñeira)
が用いられているとは、『辺境・周縁・・・』情報から。
https://www.youtube.com/watch?v=5asryjE-TvE


『CD1』はここまで。

『ムイネイラ』(ムイニェイラ)がYouTubeに出ているので、参考までに↓
http://www.youtube.com/watch?v=f21nIJCYy1s
http://www.youtube.com/watch?v=0yE7Qfvv7CI
バグパイプを用いたスコットランドの民俗音楽に、かなり似ていると感じました。
同じケルト系ですから当たり前ですが。
Día da Muiñeira 2005 - Brincadeira Grupo de Música e Baile Tradicional
Muiñeira - Wikipedia Galego

実は、最も初期に、
『ヴァイオリンとピアノの為のムイニェイラ』(1891)
Muiñeira para violín e piano
という作品を書いているらしい
(Wikipedia独語版、仏語版、伊語版に出ていました)。



交響詩『グラナダ、アルハンブラの黄昏』(1916)
Poema sinfónico “Granada, un crepúsculo na Alhambra”
『CD2』の冒頭を飾るのは、『交響曲第2番』と共に、
ガオスの代表作の一つに数えるべきではないかと思われる作品。
印象派からの影響と思われる神秘的な色彩や、
かつてイスラム世界に組み入れられていただけあるためか、
中東風の異国情緒も感じられます。
大きく盛り上がる所はカスタネットが用いられる、
ホタ・アラゴネーサと思われる典型的なスペイン風旋律。
熟達した管弦楽技法によりスペイン情緒がふんだんに盛り込まれている、


まさに“幻想曲”と呼ぶに相応しい、『スペイン序曲』や『スペイン奇想曲』、
『スペイン交響曲』等のスペインを題材にしたクラシック音楽が好きな方には、
大変お薦めしたい曲です!!
20分程もあります。
http://www.youtube.com/watch?v=j3YzyMbTXq8




ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(1896-1903)
Fantasía para violín e orquestra, op.24
サン=サーンスを彷彿とさせ、適度に技巧性もあり、
ロマンティシズム溢れる旋律も魅力的。



弦楽の為の交響詩『夜の印象』(1937)
Poema sinfónico para arcos “Impresión Nocturna”
題名通り、弦楽の為の夜想曲といった感じです。



古風な組曲(1898)全3楽章
Suite á antiga
3つの楽章それぞれに、
『サラバンド』(Sarabande)
『フゲッタ』(Fughetta)
『幻想曲』(Fantasía)
と表題が付いています。
グリーグやスヴェンセンなどの北欧の弦楽合奏作品を彷彿とさせます。
(皆その様に聴こえてしまうだけのかも?)



※欧文表記は、一応『ガリシア語』にしているつもりです。
例えば「管弦楽団」は、
スペイン語(カスティーリャ語)では「Orquesta」(オルケスタ)ですけど、
ガリシア語では「Orquestra」(オルケストゥラ)となるようです。
接続詞も、「y」ではなく「e」となるようです。



【追記】
コメント欄から、もにりくちなしさんより、
ARTE NOVA盤とColumna Música盤の内容は違うとのご指摘を受けました。
ARTE NOVA盤の音源をそのままColumna Música盤に使用したのかは不明ですが、
ARTE NOVA盤には、交響曲第1番と交響詩『グラナダ、アルハンブラの黄昏』
は収録されていないそうです。
後者は2枚組CDですが、前者はCD1枚だそうです。
有難うございます!!
本文を修正しました。

《転載終了》

交響曲第2番『ガリシアの山々より』の動画が削除されてしまったので、
別の動画を貼り付けました。
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2015年10月21日

ルーツィヤ・ガルータ(Lūcija Garūta)ラトヴィアの作曲家

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11418237726.html
2013年2月23日

《転載開始》

Lūcija Garūta.jpg


画像はコチラから拝借↓
Lūcija Garūta - Musica Baltica

ピアニスト、詩人、女性作曲家
1902年、リーガ(Rīga)生まれ(当時はロシア帝国領)

国立ラトヴィア音楽院(Latvijas Tautas konservatorijas)で、
ヤーゼプス・ヴィートルス(Jāzepa Vītola)
ヤニース・メディンシュ(Jānis Mediņš)らに学び、
エコール・ノルマル音楽院(École Normale de Musique de Paris)で、
アルフレッド・ドゥニ・コルトー(Alfred Denis Cortot)、
イズィドール・フィリップ(Isidor Philipp)、ポール・ル・フレム(Paul le Flem)、
ポール・デュカス(Paul Dukas)らに学ぶ。

ピアニストとして活躍していたが、病気のため、作曲家に転じた。

フランス印象派やスクリャービンの影響を受ける。

ソヴィエト政権下のラトヴィアに留まり、作曲を続けながら、
ラトヴィア音楽院で教師を続けた。
1977年、リーガにて死去。

管弦楽曲、室内楽曲、ピアノ協奏曲、合唱曲、独唱曲などを作曲した他、
民謡編曲も行った。

代表作、
カンタータ『神よ、あなたの大地は燃えている!』
(Dievs, Tava zeme deg !)
の初演は、第二次世界大戦の最中に行われた。
合唱指揮は、テオドルス・レイテルス(Teodors Reiters)が行い、
ガルータは、パイプオルガンの演奏を受け持った。

ソヴィエト政権時代は、宗教的民族的理由から演奏が禁止されていたが、
1990年、ラトビアの歌と踊りの祭典
(Vispārējie latviešu Dziesmu un Deju svētki)
に於いて、復活演奏された。

【代表作】
交響詩『伝説』(1932)
“Teika” simfoniskajam orķestrim
交響詩『瞑想』(1934)
“Meditācija” simfoniskajam orķestrim
交響的変奏曲『我が祖国』(1935)
“Manā dzimtenē”, simfoniskās variācijas
歌劇『銀の鳥』(1938, 1960)
“Sidrabotais putns”, opera
カンタータ『神よ、あなたの大地は燃えている!』(1943)
(テノール、バリトン、合唱、オルガン)
“Dievs, Tava zeme deg!”, kantāte tenoram, baritonam, korim un ērģelēm
ピアノ協奏曲嬰ヘ短調(1951)
Koncerts klavierēm ar orķestri fa diēz minorā
交響的物語『黄金の馬』(1959)
“Zelta zirgs”, simfoniskā teiksma
カンタータ『彼は飛ぶ』(1961)
“Viņš lido”, kantāte
オラトリオ『生ける情熱』(1966)
“Dzīvā kvēle”, oratorija

※Wikipedia日本語版、ラトヴィア語版などを参照。
ルーツィヤ・ガルータ(Wikipedia)

ピアノ協奏曲嬰へ短調
ピアノ:リエネ・ツィルツェネ(Liene Circene)
http://www.youtube.com/watch?v=I0iaMpJ8-iI


後期ロマン派の様式で、作品の完成度はとても高く感じます。
技巧性もかなりあって、聴き応え充分です。

特に印象的なのは、そのメロディ。
私はラトヴィア民謡にそんなに精通している訳では無いので、
ラトヴィア民謡が用いられているのかどうかは分かりませんが、
かなりローカルな民謡的な雰囲気を感じました。

全体的に魅力が溢れていて、映画音楽にでも使えそうとか思いました。
全3楽章で、演奏時間も約35分と、ピアノ協奏曲としては平均的ですね。



この作曲家は、アンドレイス・ユルヤーンス(Andrejs Jurjāns)
の紹介記事(2010年8月23日公開)を書いている時に知りました。
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10627679157.html
ユルヤーンスの代表作であるカンタータ『我が祖国に』のCDに、
日本語Wikipedia頁でも詳述されている
『神よ、あなたの大地は燃えている!』
がカップリング収録されているのです。
【RIGA RECORDING STUDIO RS 020】

このCDは、ユルヤーンスの存在を知ったばかりの時に、
彼のCDが存在するのかどうかの確認の為にAmazonで検索して知りましたが、
その時既に、現在はお取り扱いできません、という断り書きが出ていました。
しかもその時は、ガルータとのカップリングであるとは気付きませんでした。
ブログ記事を書いている時に初めて気付いたのです。

どんなものか聴いてみました。
『神よ、あなたの大地は燃えている!』
http://www.youtube.com/watch?v=rttecfu1NBQ


情感溢れるメロディがなんとも美しく、聴き心地がとても良いと思いました。

後半は一部、退屈に思える様な部分があるかも知れませんが、
瞑想的で心が洗われる様な雰囲気なので、苦痛には感じませんでした。

ラトヴィアのメロディは、
心を深い所からグッと揺さぶって来るような所が特徴的だな、と。
クライマックスは荘厳さに溢れており、
平和への祈りを込めているかの様です。
約50分

以前、ヤーニス・カルニンシュ(Jānis Kalniņš)
カンタータ『無縁墓地』(Kantāte “Asins Tīrums”1958)
アルフレーツ・カルニンシュ(Alfrēds Kalniņš)
カンタータ『海』(Kantāte “Jūŗa” 1929-1930)のカップリングCDを
2008年11月18日の記事で紹介しましたけど【NYLCC 007】
http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10166368762.html
それらに雰囲気がちょっと似ていると思います。

これらの曲もとても良いと思います。
旋律の明解さでは、これらの曲の方が上かも知れません。

それにしても驚いたのは、こんなマイナーな作曲家であるにも拘らず、
Wikipedia日本語版頁が作られていたこと。
記事を書く上で大分助かりました。



◎CD化状況
既に紹介したユルヤーンスとのカップリングでカンタータのCD↓
Latviesu patriotiskas kantates - BalticShop.com
RIGA RECORDING STUDIO RS 020.jpg


歌曲と室内楽曲のCD↓
Lucija Garuta Kvelot, liesmot, sadegt - BalticShop.com
Lucija Garuta Kvelot, liesmot, sadegt - Latvian Canadian Cultural Centre
Lūcija Garūta, Kvelot, liesmot, sadegt, CO-KT01.jpg


オリヴィエ・メシアンとのカップリングでピアノ曲のCD↓


Lūcija Garūta. Zvaigznes skatiens. Olivier Messiaen. Regard de l'etoile - BalticShop.com
Lūcija Garūta. Zvaigznes skatiens, Olivier Messiaen. Regard de l'etoile.jpg


オムニバスで、合唱作品『小さな白い羊』『我が祖国』収録のCD↓
Ave Sol Ai, manā zemītē (My Homeland) - BalticShop.com
Lūcija Garūta, Ave Sol Ai, manā zemītē.jpg


ピアノ協奏曲のCDが見つけられないのですが、
恐らく存在しないのかも知れません。
YouTubeに出ているのは、ラジオ放送を録音したものでしょうか?
リエネ・ツィルツェネというピアニストは、最近の人です。



【疑問】
ラトヴィア語で「銀」は「Sudrabs」なのですが、『銀の鳥』では、
「Sidrabotais putns」という風に、「u」が「i」になっています。

単なる打ち込み間違いにしては、
ラトヴィア語の文章でこの綴りで書いているWeb頁が
幾つかあったりするので、その辺どうなのかな?と思います。

「Sidrabotais putns」と「Sudrabotais putns」の検索件数を比べてみると、
前者の検索件数が後者に比べて極めて少ないのですが、
ガルータの曲について紹介している頁では、前者の表記が多い様なのです。
こういう表記でもあっているという事でしょうか?

Wikipediaでは、言語によって、「ピアノ協奏曲」の作曲年が、
「1951年」であったり「1952年」であったりと、内容のズレがあります。

交響的変奏曲『我が祖国』も、言語によって、
「1935年」であったり「1936年」と、
内容にズレがあります(2013年2月22日現在)。



【追記】
当記事を上げた後に改めて「ルーツィヤ・ガルータ」を検索してみた所、
検索結果に大きな変化があったようで、
『日本ガルータ協会』なる言葉を見つけました。

その協会のHPがかつてあった様ですが、現在は削除されているようです。
http://www.geocities.jp/garuta1902/(リンク切れ)

《転載終了》
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