2018年04月01日

フリードリヒ・クーラウ(Friedrich Kuhlau)を聴く(YouTubeより)

https://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10269211052.html
2009年5月27日

《転載開始》

800px-Kuhlau_Friedrich.jpg
フリードリヒ・クーラウ - Wikipedia
 
ダニエル・フリードリヒ・ルドルフ・クーラウ
Daniel Friedrich Rudolph Kuhlau(1786-1832)
彼については、後日正式に紹介します。
彼は、幼少の頃に井戸に落ちてしまい、
それがきっかけで右目の視力を失ってしまいました。
(追記:失明原因には他にも諸説あり)
肖像画を見ると、右目を瞑っています。
最初に見た時、ウィンクしているのだと誤解してしまいました。
しかし、ドイツからデンマークに渡り、
その地で宮廷音楽家にまで登りつめました。
サクセスストーリーですね。
 


で、彼の作風は一風変わっています。
当時としては前衛音楽家と見なされ、
『北欧のベートーヴェン』みたいに見られていたようです。
実際、同時代の作曲家ベートーヴェンとも面識があったようです。

しかし、私が聴いた所、ロマン派よりも古典派臭を感じます。
でも、その中ではじけてるんです!!
『前衛的古典派』とでも言うのか(私が勝手にそう思っているだけですが)。
例えば、序曲『ウィリアム・シェークスピア』の冒頭のフレーズなんかは、
現代の感覚で聴いてもかなり型破りな印象。
ロマン派音楽が台頭してきたばかりの頃にしては、
かなり大胆なフレーズの様に感じるのですが。
ロマン派というよりは古典派臭が強いですけど。
でも、前衛的という意味で、ロマン派音楽の先駆けの一人と見なされている。
 
それから、もっと凄いのは、
未だ『国民楽派』『民族楽派』といったものが登場する以前に、
デンマークやスウェーデンの民謡を自作に取り入れたりしていること!!
時代の先を行っていたのです!!
『北欧国民楽派』の、かなり早い時期の先駆けの一人と言えます。
 
『国際フリードリヒ・クーラウ協会』の日本語サイトがあったりします↓
http://www.kuhlau.gr.jp/
 
で、今回紹介するのは、彼の代表作である
劇音楽『妖精の丘』(Elverhøj, 1828)
の『序曲』です。
フレデリク4世の皇女ヴィルヘルミーネと
皇太子フレデリク(後の7世)の婚礼の祝祭劇のための演目のとして、
ヨハン・ルーズヴィー・ハイベア(Johan Ludvig Heiberg)の
戯曲『妖精の丘』が選ばれ、作曲はクーラウが担当することになりました。
この劇音楽には、自作の音楽もあるけど、北欧民謡がふんだんに用いられており、
国民楽派の先駆けの一つとして重要な地位を占めています。
実際、王立劇場で最も上演回数が多い程の人気演目となったようです。
 
序曲の最後の部分には、
デンマーク国歌『クリスティアン王は高いマストの傍に立ちぬ』
(Kong Christian stod ved højen mast)が用いられています。
童謡『山の音楽家』(ドイツ民謡)に似ているような・・・。
デンマーク国歌には『市民用』(麗しき国, Der er et yndigt land)
と『王室用』の2種類があり、後者が用いられています。
 

 
 
 
【追記】
肖像画像追加
本文中に失明原因についての追記
動画が削除されたので新しく上げ直し(2018/4/8)

《転載開始》
タグ:デンマーク
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2018年03月18日

アンドレアス・ハッレーン(2)(Andreas Hallén)スウェーデンの作曲家

https://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10270959035.html
2009年5月30日

《転載開始》

Andreas Hallén.jpg
J Andreas Hallén - Svenskt Biografiskt Lexikon - Riksarkivet
 
ユーハン・アンドレアス・ハッレーン
Johan Andreas Hallén(1846-1925)
 
イェーテボリ(Göteborg)生まれ
ストックホルム(Stockholm)歿
 
アルヴェーン登場以前の、スウェーデン国民楽派の重要な作曲家の一人。
ドイツ滞在により『新ロマン主義』(Den nyromantiska)の影響を受け、
ヴァーグナー風の作風を強く示す。
 
【代表作】
歌劇『ヴァイキングのハーラル』ドイツ語版(1881年)
Oper ”Harald der Viking”
歌劇『ヴァイキングのハーラル』スウェーデン語版(1884年)
Opera ”Harald Viking”
クリスマス・オラトリオ(1904年)
Ett juloratorium
 
以前もここ で紹介したが、とにかくハッレーンのCDの種類が少ない。
同時代のスウェーデンの作曲家の中でも、オーケストレーションに長け、
スウェーデン国民楽派としての完成度の高さを最も感じたのがこの作曲家だった。
大雑把に言えば、アルヴェーンの前身的存在。
その割には、いささか不遇な扱いではないかと感じた。
王道というには、ちょっとヴァーグナーからの影響が強いけど。
 
ブラームスの『ハンガリー舞曲』第2、7番
(Johannes Brahms, Ungarische Tanz Nr 2, 7)
のオーケストレーションを行ったのが、他ならぬハッレーンである!!
 
スウェーデン狂詩曲第2番(1882)
Schwedische Rhapsodie Nr.2, op 23
『スウェーデン狂詩曲』(Svensk rapsodi)と言えば、
アルヴェーン(Hugo Alfvén, 1872-1960)による3篇、
中でもとりわけ第1番『夏の徹夜祭』
(Midsommarvaka, 1903)がよく知られている。
20世紀の王道的スウェーデン国民楽派の
オスカル・リンドベリ(Oskar Lindberg, 1887-1955)も、
『スウェーデン民謡による狂詩曲』
(Rapsodi över svenska folkmelodier, op,32, 1930)
を書いている。
その中でも、かなり早い時期に書かれているところが重要。
『第2番』ということは『第1番』も書いているという事だが、
確か何かで見た情報だと、1870年代に書かれていたと思う。
でも、記憶違いだったらいけないので、断言はしません。
しかも、CD化されていないようだ。
それはともかく、聴くことの出来た『第2番』の感想だが、
『新ロマン主義』の影響を強く受けているだけあって、やや大仰さのある表情、
情感豊かな、まさしく『ラプソディ』の名に相応しい作品である。
冒頭等の、ちょっと『演歌』を彷彿とさせる哀愁のメロディは、
『ネッケンの歌』(Näckvisan)が元になっているらしい。
(追記:『ネッケンのポルスカ』(Näckens Polska)が本当は正しいようです)
そのメロディは、4:00手前付近で大きく盛り上がる。
まるで、業の深い演歌でも聴いているようだ。
その後打って変わって、明るくて可愛らしい、
テンポの若干速いコミカルな舞曲風の
『やあ、トムテのじいさん方』(Hej Tomtegubbar)が登場。
マイナーコード調の切ない感じにもなったりする。
10:00を少し過ぎた辺りの冒頭のメロディの変形が大きく盛り上がる部分が、
『哀愁の演歌』っぽくて個人的に特に好き。
その後、冒頭の哀愁のメロディが再現されるが、
すぐに明るくて可愛らしいコミカルな舞曲が再現され、
大きく盛り上がった所でハッピーエンドっぽく終了となる。
1882年ベルリン初演。
 
交響詩『死の島』(1898)
Symfoniska Dikterna ”Todteninsel” op 45
スイスの象徴主義の画家、アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin, 1827-1901)
の代表的な絵画に触発された作品。
交響詩『死の島』と言えば、
セルゲイ・ラフマニノフ(Сергей Васильевич Рахманинов)
によるものがよく知られているが、ハレーンの方が11年も早く書いている。
この所は強調したい!!
2部構成となっていて、前半は『哀愁の演歌』を彷彿とさせる切なくなるメロディ。
スウェーデンの民謡的要素の含まれたメロディと思われる。
4:00付近で大きく盛り上がる所が特に演歌好きにはたまらないだろう。
が、8:20の辺りで、牧歌的な雰囲気に変化する。
如何にも、春の訪れを思わせるような、優しいメロディ。
そのメロディが『愛と感動の映画』に使われていそうな感じに
大きく高揚したりもするが、概ね優しい雰囲気が最後まで続く。
まさに「癒し系」という言葉がピッタリなメロディ。
 
歌劇『ヴァイキングのハーラル』(1881)
Oper ”Harald der Viking”
CDに収録されているのは、第3幕の最終場。
聴いてみれば、
明らかにヴァーグナーからの強い影響を感じ取る事が出来るだろう。
最初はドイツ語版が書かれ、1881年にライプツィヒにて初演され、その後、
スウェーデン語版が1884年に初演された。
ヴァグネリアンを自認する方は、お聴きになられる事をお勧めする。
劇的表現好みの私にとって、とても引き込まれるメロディだ。
こういった退屈さを感じない曲がやたらとマイナーに貶められている事に、
甚だ納得がいかない今日この頃である。
トラック6の部分には、『フィンランディア』の冒頭のメロディや
『ヒーローサウンド』の響きを感じた。
 
Andreas Hallén MSCD 621.jpg

アンドレアス・ハッレーン管弦楽作品集
演奏:ヘルスィンボリ(ヘルシンボリ)交響楽団(Helsingborg Symfoniorkester)
指揮:ハンス=ペーター・フランク(Hans-Peter Frank)
演奏:マルメ交響楽団(Malmö Symfoniorkester)
指揮:スティーグ・リューブラント(Stig Rybrant)
【MSCD 621】1990
 
【追記】
冒頭で使用されているメロディは『ヴェルムランドの歌』ではなく、
実は『ネッケンの歌』(Näckvisan)が正解らしいです。
ここにお詫びして訂正します。
似ているので誤解していました。
また、陽気な舞曲風のメロディの題名も追記しました。
 
【追記2】
肖像画像追加
『ネッケンの歌』と紹介し直したものは、
『ネッケンのポルスカ』(Näckens Polska)が本当は正しい様です。
『スウェーデン狂詩曲第2番』は
「MUSICA SVECIAE」レーベルの解説書によると、
「1882年ベルリン初演」と出ていますが、
Wikipediaなどネット情報では「1883年」とも出ています。
ヨハン・アンドレアス・ハレーン → ユーハン・アンドレアス・ハッレーン
スティグ → スティーグ(2018/3/15)

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2018年03月04日

グルジア(ジョージア)の歌『スリコ』(სულიკო)(2)

https://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-10276691469.html
2009年6月8日

《転載開始》

スリコ:SULIKO:სულიკო(1895)
 
作詞:アカキ・ツェレテリ
(აკაკი წერეთელი, Akaki Tsereteli, 1840-1915)
グルジア民謡
 
以前、ここでYouTubeに出ているメロディを紹介した『スリコ』ですが、
お約束通り、この曲について紹介しましょう。
まず、私がこの曲を知った経緯から。
 
ONDYNE(ODE 766-2).jpg
民謡主題による作品集(FOLK INTO CLASSIC)
ONDYNE(ODE 766-2)1991
オストロボスニア室内管弦楽団(Keski-Pohjanmaan Kamariorkesteri)
指揮:ユハ・カンガス(Juha Kangas)
というCDには、フィンランドやエストニア等の作曲家の作品がオムニバスで
収録されていますけど、その中に
スルハン・ツィンツァーゼ
(სულხან ცინცაძე, Sulkhan Tsintsadze, 1925-1992)
の代表作である『弦楽四重奏の小品集』が収録されていて、
その中に『スリコ』が含まれていました。
 
話はズレますが、その小品集の中の『羊飼いの踊り』を、
私は1997年にロックミュージックっぽく編曲しました。
 
問題の『スリコ』ですが、思いっきりほのぼのしたメロディです。
でも実は、亡き兵士『スリコ』を恋人が偲ぶという内容です。
とてもそうは思えませんが。
元々伝承曲だったメロディに、
グルジアの偉大な詩人ツェレテリが詞を付けたのが
『スリコ』という事のようです。
 
აკაკი წერეთელი.jpg
აკაკი წერეთელი - Wikiepdia
 
でもロシア語版では、死んだのが女性の方になっていて、こちらの方が、
日本では馴染まれています。
 
恐怖政治を行った『スターリン』ではありますが、グルジアは彼の故郷です。
スターリンは『スリコ』を大変気に入っていたようで、
反戦的気分を引き起こすような歌詞なだけに、とても皮肉と言えば皮肉です。
 
グルジアは『反ロシア感情』が強く、
最近ロシア的な呼び名である『グルジア』をやめて
英語的な『ジョージア』と呼んで欲しい、
とグルジア政府が日本に要請してきました。
いきなりの変更も難しいと思いますが、
でもそれだったら、地元での呼び名である
『サカルトヴェロ』(საქართველო, Sakartvelo)
でいいんじゃないかと思うのですが・・・。
 
【参考】
Suliko - Wikipedia
スリコ - ヴァーチャル・うたごえ喫茶「のび」
スリコ/うたごえサークルおけら
 
 
 
【追記】
CD画像、ツェレテリの肖像画像追加
記事の題名に「ジョージア」の文言を追加(2018/3/7)

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